麺通団公式ウェブサイト
麺通団トップへ 団長日記へ リンクへ 募集一覧ページへ
麺通団公式ウェブサイト
2018年01月の日記
2018年1月23日(火)

 先週の金曜日あたりから、数年ぶりにキャッチアコールドであった。いつもはほんの微細な風邪の気配を感じるとすぐに「高めのユンケル」と「早めの睡眠」でうまく抑え込んでいるのだが、今回は木曜日の夜にピッと感じたにも拘わらず、つい仕事で夜更かしをしてしまったため、金曜日の朝の対処が「遅めのパブロン」になって、コールドをキャッチしてしまったらしい。飲んだのはパブロンではないが。

 「ほんの微細な風邪の気配」というのは、「ちょっと熱っぽい」とか「ちょっと鼻水が…」とか「ちょっとノドの奥がヒリヒリする」とかいういわゆる「風邪の初期症状」ではなくて、それより前段階の、何かの微細なサインである。例えば、パソコンに向かって一心不乱に考えている時に、ふと吸った息が鼻の右の奥の奥でツンとなったとか。ま、そんなたいそうなことではないが、意識しているとそういうのにかなり気がつくようになる。で、せっかく気がついたのに「高めのユンケル」と「早めの睡眠」がほんの一晩出遅れたために、ちょっと症状が出てしまったというわけだ。

 けど、甘酒飲んでゆっくりしてたら、3日ぐらいで大したことにもならずに回復した。今日はもう、リカリンも「カンチー」言うぐらい完治した。誰がそんなのを覚えてる(笑)。いや、私はあんなトレンディードラマなんか見たこともないのだが、『東京ラブストーリー』は当時とにかくムチャクチャ流行ってて、「笑いの文化人講座」にも関連ネタが毎月のように押し寄せていたもんで、何かフレーズとか投稿作品だけは覚えてて。説明はせんけど「ラブストーリーは筑前煮」とか(笑)。

 そういうわけで(どういうわけだ)、私はいろんなものに鈍感な振りをしながら、私なりに敏感にアンテナをONにしてはいるのである。だから、周りのみんなが思っているであろう以上にいろんなものに、それなりには気がついている。リカリンも「カンチー」言うぐらい感知はしているのである。もうええか(笑)。

***

 微妙に関連して、去年の秋のエピソードを一つ。たぶん今20代後半になっているであろう大学時代の教え子(男)から、突然メールが来た。そいつは学生時代、私の授業をあまり真面目に受けていなかったやつなのだが、何やら自分で何かの仕事をやらないといけないことになったらしく、けど、しばらくやってみてもどうもうまくいかなくて「どうすればいいのか…」と悩んでいた時、ふと私のマーケティングの授業を思い出したらしい。それで、「今さらながら勉強し直したいので、どこかで会ってアドバイスをくれませんか?」という依頼であった。

 そこで、時間を合わせて、若者に人気の某カフェで会うことにしたのである。何で私のようなおっさんが若者に人気のカフェなんかで会うことにしたのかというと、そのカフェのオーナーが私の昔の仕事上の知り合いの人で、その店は広くて天井が高いので周りの声がBGMのように拡散して邪魔にならないため、私はよくそこへパソコン持って仕事をしに行っているからである。あと、コーヒーもちゃんと淹れてくれて灰皿もあって…もうええか、北浜アリーのumieですけど(笑)。

 で、久しぶりに会ったそいつはさすがに社会に出てしっかりしてきた様子は窺えて、つたない資料とか持って来て今自分がやってることを一生懸命伝えてきた。しかし、どうも自分のことはいっぱい伝えてくるのに、こっちの言うことの飲み込みが今ひとつよろしくない。まあ、飲み込みがいいようなら私の授業をもうちょっと真面目に聞いていただろうけど、それでも私は一生懸命話を聞いてやって、それから思いつくままに戦略案まで書いて説明をしてやっていたのである。

 ところが、途中であることに気がついて、私はちょっと冷めてしまった。こっちが仕事の話をしている最中に、たびたび店の入り口のドアが開いて客が入ってくる。その都度、そいつの目玉がチラッとそっちに動くのである。動いた目はすぐにこっちに戻ってくるのだが、若い女の子が入ってくると、そっちにチラッと動いた目が返ってくるのにちょっと時間がかかることにも私は気付いてしまった(笑)。

 まあ、雑談でもしてるんならええけど、こっちが仕事の話を必死でやってる時にそれをやられると、いかに誠実で温厚な私の気持ちも軽く折れようというものだ。

 思い起こせば、私が今まで会ってきた数多くの仕事相手の中にもそういう人が何人もいたが、私的な評価を言わせていただければ、そういう人は押し並べて「大した仕事はできない」というのが私の評価である。まあ、安易にレッテルを貼ってもいけないが、「人の振り見て我が振り直せ」で、私はそういう場では絶対に、一瞬でも周りに気を取られている素振りを見せたくないので、誰が入ってきても目線すら動かさないように意識をしている。それで時々、知ってる人が入ってきたのに気付かないで、話してる相手に「鈍感なやつやな」とか言われたりするのであった(笑)。何か変なオチになったかもしれんが、「キャッチしたコールドをリリースしたばかり」ということでご勘弁を。
2018年1月18日(木)

 この1ヵ月くらいの間に「讃岐うどん」に関する執筆依頼が2件舞い込んできたのだが、そのうちの1件(全国ネットの某メディア)はあまりにコンセプトがいい加減だったのでお断りして、もう一件の原稿にこないだから取り組んでいたのである。ま、「取り組んでいた」と言っても仕事の合間に「何を書こうかなあ」と考えているうちに日にちが過ぎて行っただけであるが、先週、何となくテーマが決まったのでちょっと書き始めたら、どうしても文中にごんとH谷川君のボケツッコミが入らないとリズムが取れなくなった(どんな文章や。あ、いつもの文章か)。

 しかし、彼らがしゃべってもないことを会話文にするのは、誠実な編集者として本意ではない。そこで早速、まずはH谷川君に電話。

田尾 あ、私がお忙しいところ、申し訳ありません。
H谷 イヤな予感がしますが何ですか。
田尾 実はこうこうこういうわけで原稿を書き始めたんやけど、今、俺の頭の中でちっちゃいH谷川君がよっけしゃべりよんや。このまましゃべらせといてええか?
H谷 こっちの僕は何もしゃべってないですけど、いいですよ。好きなようにしゃべらせといてください。
田尾 了解。ほな。

 よし、一件落着…でなくて、とりあえず1件だけ落着。次はごんじゃ。

田尾 あ、私がお忙しいところ申し訳ありませんが、一つよろしいでしょうか。
ごん あまりよろしくない感じがしますが、何でしょう(みんな学習しとるから同じような反応をする・笑)。
田尾 実はかくかくしかじかで、今、俺の頭の中のちっちゃいごんがよっけ突っ込み入れよんやけど、止めんでもええか?
ごん おかしいですねえ。今、出張で県外に来てるんで、そっちで突っ込み入れよるはずがないんですけど。
田尾 けど、よっけしゃべりよるぞ。そっちのお前、ほんまにお前か? ちょっと確かめてみ?
ごん え?…あ、なんか私でないかもしれん…って、何でやねん。はいはいわかりましたよ。

 よし、2件とも落着(笑)。

***

 というわけで、自分で言うのも何だが、いろんなもののスピードが落ちてきたとは言え、自分の持ち場で相変わらずよく働いておる。何事も、前に進もうとする時は「全員、持ち場に着け」である。ま、それもリーダーが優秀な時に限るが(笑)。

 さて、既報の通り(既報したかな)、来週の月曜日の夜9時からの『世界なぜそこに日本人』(テレ東系)に大円の大将の娘さんが出ます。カリブ海のアンティグア・バーブーダという聞いたこともないような秘境で、我々凡人にはとてもできない“持ち場”に携わって頑張っているそうです。ちなみに、大円の店内カウンターにある「麺出るすゾーン(厨房から出来上がったうどんを出すスペース)」のデザインが中南米風のイラスト入りに一新されていますが、娘さん作だそうです(笑)。
2018年1月4日(木)

 初詣も行かずに正月三が日が終わった。別にニッポン人の伝統文化を破壊しようという気持ちなどはサラサラないのであるが、どうも「みんなが殺到するところにはあまり行きたくない」という生まれついての天の邪鬼みたいなところがあるのか、物心ついて以来、私には初詣に行った記憶がほとんどないのである。大体、私が阪神ファンになったのも、中学生になった頃(1968年頃)、周りが全員巨人ファンだったので(田舎ではテレビで巨人戦しか見られなかったからだと思う)無理矢理それ以外のファンになろうと思って探したら、巨人の一番のライバルが阪神だったから、という歪んだ理由だし(笑)。

 ただし、これまで『インタレスト』で何度も神社やお寺の特集をしたり、「うぶしな(宇夫階神社の境内で神主がやっているうどん屋)」へ行けばお供えのお下がりの餅が入った「宮うどん」を食べるし、「八十八庵(四国霊場第八十八番札所・大窪寺の門前うどん屋)」も大好きなように、日頃からお寺や神社に対しては常に真摯な気持ちで接しているので、神様仏様にはそのあたりを十分にくみ取ってご容赦いただいてと(笑)。

 ちなみに、四国新聞が毎年発表する「正月三が日の初詣客数」によると、香川県内13カ所の主要寺社には合計140万人もの参拝客がいたそうで(去年の1月1日の日記参照)、そこから推計すると、県内全ての寺社の初詣客は500万人を超えるのではないかという殺到ぶりらしいので(笑)、我が家が行かなくても日本の伝統は大丈夫だろう。

 しかし、それにしても四国新聞、今年も発表するのかなあ。「お寺や神社に聞いてそのまま発表する」などといういい加減なことをやっているから、合計が香川県の人口(97万人)をはるかに上回るというバカな数字になってるのに(笑)。

***

 というわけで、今日は10時過ぎに家内と長男と3人で「がもうへうどんを食べに行こう」という話になったのである。最初は「どうせなら、珍しく初詣を兼ねて八十八庵まで遠征しよう。4日ならさすがに初詣ラッシュは過ぎてるだろう」というプランが浮上していたのだが、八十八庵までは家から約1時間。メンバーの中に特に腹が減りがちな者が1名いたため(今、頭の中のちっちゃいごんからその1名の名前が挙がったが、正解・笑)、近いところで家から20分のがもうに変更したのだ。

 そこで私は、道中、がもうでの第一声を考えることにした。

「明けましておめでとうございます。初詣に来ました」
「確かここ、二礼二拍手一礼でしたよね」
「お賽銭、なんぼぐらい入れたらええかな」
「願い事。今年はがもうへちゃんと財布を持って行けますように」

 うーむ、どれも今ひとつ切れがないな。とか思いながら、産業道路から南バイパスに入って、あと10分ぐらいになったところで、

田尾「あとは今日、がもうがやっとるかどうかだけやな」
長男「えーっ! ここまで来てそこかい!」
田尾「大丈夫や。俺がなんぼ定休日に当たる言うても、1月4日はもう開いとるわ」

 とか言ったら、後部座席でスマホをいじって確認したらしい長男が報告してきた。

長男「今日、営業しとるわ。しかも、今の時間帯は特に空いとるらしいで」
田尾「最近のネットはそんなんまでわかるんか! 一体誰がそんな情報をアップしよんや。客か? がもうは絶対、いちいちリアルタイムでそんな情報をアップしてないぞ」
長男「まあ、誰かが何かのデータから傾向を出して載せとんちゃう?」

 私は『ゴルゴ13』の「俺は自分の目で見たものしか信用しない」という生き方を信奉しているので、自分で調べたわけでない他人発の情報は、「誰がどうやってその情報を入手したか」が推測できないものは基本的に信用しないことにしているのだが、まあ、うどん屋情報だから間違ってても人生に大して影響はない。とりあえず、今日はがもうの営業日であることだけ確認できれば問題ない。

 そして10分後、がもうのすぐ東側の道のカーブミラーの所に差しかかった。そこを90度左折した途端、

田尾「ランプがついてないぞ!」
家内「臨時休業って書いてある!」

***

 今年の初うどん屋は、「臨時休業」であった。ま、ネットの情報とはそういうものだ。しかしとりあえずガックシと肩をカカトまで落とした我々は、「ここまで来たら」ということで、そこから「おか泉」に向かうことにした。

 10時50分頃、おか泉に到着。ところが、店の入り口から20メートルはあろうかという行列じゃないか! しかも、行列は微動だにせず、動く気配全くなし。

田尾「これはあかんわ」
家内「じゃあ、うぶしな行く?」
長男「そこ、行ったことないわ」
田尾「すぐそこの神社の中や。初詣代わりにピッタリやぞ」
長男「初詣代わりと言うより、そのまま神社で初詣したらええやん(笑)」

 とか言いながらうぶしなに行ったら、店、やってないやんか! 神社が忙しくてうどん屋どころでないんか!

田尾「しょうがない、丸亀まで行って『やお(中村)』に突撃するか」
長男「最初から八十八庵に行ってたら、もう着いとんちゃう?」

 とか言いながらもう一回33号線に出て目の前のおか泉を見たら…

家内「行列が半分ぐらいになっとるで!」
田尾「ほんまや」
家内「おか泉行こ」

 再度「おか泉突撃」に変更。私はおか泉の横に車を停めて先の家内と長男を下ろし、裏の駐車場に車を回して、裏から歩いて正面に出ようとしてふと横の大きな看板を見た。

「営業時間 11:00から」

 え? 11時から? 今、10時58分。とすると… 私は表に回って家内と長男(まだ行列の最後尾だった)に合流して言った。

田尾「おか泉、11時からや」
家内「えー? そしたら、さっき見た行列って、開店前の行列やったんや」
田尾「たぶん、行列があったから10時55分ぐらいに店開けて、第一陣が今、店に入ったとこや」
家内「じゃあ、最初から並んどったら、私ら今、行列の一番前だった」
町内「ま、正月から最悪のタイミングということで(笑)」

***

 という、「臨時休業」、「臨時かどうかわからんけど休業」、「営業時間確認ミスによる20分近くのタイムロス」の3連発が立て続けに襲ってきた我が家の初うどん屋出動記でした。2018年の讃岐うどん界、激動の予感(笑)。
2018年1月2日(火)

 昼から詫間の実家に行く。実家は母が一人暮らししているのであるが、今年は高松に出ている3家族から7人が集合して、計8人が実家でダラダラと半日過ごした。

 周りを見ると、近所にも多くの帰省家族が集まっているようで、普段、時々実家に立ち寄る時にはほとんど見たことのない数の車が、あちこちの家の前や耕作放棄した田畑に停まっている。

 それから夜の7時半頃解散して高速に乗ったら、帰省ラッシュの始まりらしくて普段の10倍ぐらいの車が走っていた。

***

 そういう「盆と正月の帰省ラッシュ」という当たり前の光景を見ていて改めて思うのは、「人は仕事のあるところに定住する」という、これまた当たり前のことである。みんな、地元の田舎に仕事がないから、仕事のある地元以外の都市部とかに出て行く。だから、盆や正月に「帰省してくる」のである。出て行かなければ「帰省」なんかしなくていいんだから。

 ちなみに、「人は仕事のあるところに定住する」という大原則は、数字を見ても大体そういう感じになっている。例えば、香川県の人口は1970年の約91万人から少しずつずーっと増え続けて、2003年にピークの103万人になり、そこからだんだん減り始めて2017年に約97万人になっているのであるが、以前、『インタレスト』で帝国データバンクから頂いたデータを特集した時、香川県の1000億円企業の数が1990年の「4社(四国電力、松下寿電子、セシール、タダノ)」からだんだん増えて1996年〜2003年にかけてピークの「7社(四国電力、松下寿電子、セシール、タダノ、加ト吉、マルナカ、穴吹工務店、NTTドコモ、JA香川県…年によって一部入れ替わり)」になり、そこからどんどん減り始めて2011年には四国電力とマルナカの2社にまで落ち込んでいることがわかった(たぶん今はそこにタダノが震災以降の復活で加わっていると思う)。つまり、象徴的なサンプルだけの話だが、「香川県の1000億円企業の数と香川県の人口の推移はほぼ連動している」という結果である。

 一方、人口減対策として「少子化対策」が盛んに行われているようだが、香川県の出生数は1971年〜74年頃の第二次ベビーブームの年間約17000人から以後ずーっとほぼ減り続けて、人口ピークの2002〜2003年には1万人を割り込んでいるので、まあ普通に考えたら「人口」と「出生数」は全く連動していないと言わざるを得ない(数字だけ見たら「逆行している」)。従って、「人口減対策」が目的であれば、「少子化対策」や「子育て支援」は目的に対して全く整合性のとれていない手段であることは明白だと思う。

 まあ、少子化対策や子育て支援もないよりはあった方がいいのだろうけど、暇があったらネット等で県や市町の政策を見てみてください。そこにもし、少子化対策や子育て支援が「人口減対策」の項目の中に入っていたら、その政策はどうかしてると思った方がいいと思います(笑)。

 あともう一つ、日本の帰省ラッシュは日本における「家族」というものの存在を改めて考えてみる一つのいい材料だと思いますが、これは長くなるのでまたの機会に。ま、「またの機会に」というのは「行けたら行く(というやつはほとんど来ない)」とよく似た意味なので、そういうことで(笑)。
2018年1月1日(月)

 1日中、一歩も外に出ないという平穏な正月であった。正月から働いている人には申し訳ないが、正月から働いている人が休む時に私が働いていることもあるから、まあ、社会におけるそれぞれの役割分担である。

 そういえば、あれは忘れもしない今から40年近く前のいつだったか(忘れとるやないの)、という定番ツッコミを久しぶりに使ってみたが、実は忘れてなくて就職1年目の12月31日の深夜11時過ぎのことである。地元広告代理店の新入社員だった私は、大晦日のみんなが年越しのうどんか蕎麦を食いながら紅白を見ている頃、高松港にある四国フェリーの、車がフェリーに乗り込む時にくぐる大きなゲートのそばにいた。

 何をするのかというと、あのゲートの一番上の所に「迎春」という看板を取り付ける作業をするのである。といっても私が上に上がって取り付け工事をするのではなく、業者の方がやるのを見守る営業担当の上司について行って、いろんな雑用の手伝いをするという役目である。営業担当の上司は自分のクライアントだから毎年必ず「大晦日は四国フェリーで過ごす」のだが、その手伝いは会社から「家族持ちは気の毒やから、誰か独身のやつが行け」ということで、私は入社して4年の間に2回、雑用担当で出動した。

 あの時、私は初めて「社会にはいろんな仕事があって、いろんな人がそれぞれの役割分担で社会を形成しているんだなあ」ということを何となく感じた…という記憶がある。「家族持ちは気の毒やから、誰か独身のやつが行け」というのも、私の価値観で言えば「社会の役割分担」であるから、私は特に拒否するわけでもなく、新人でもあるので「すると、僕ですか?」とか言いながら行ったのである。

 何というか、それぞれがそれぞれの場面でそれぞれの仕事に一生懸命励み、それぞれの現場で一生懸命励んでいる人にそれぞれが素直に敬意を払えば、大局として悪いようにはならないと思うのである。悪代官が「悪いようにはせぬ」と言ったらまず間違いなく「悪いようになる」けど(笑)。

***

 でも、たぶん今、同じようなことを会社の上司とか社長が言ったら、どこかからバッシングが来るか、ネットの中で炎上しそうな気がする(笑)。「社会はいろんな人がいろんな仕事で役割分担しながら成り立っている」という事実より、「社会はみんな平等であるべきだ、みんなが同じ境遇であるべきだ、同じ待遇であるべきだ」というユートピア思想みたいなものの方が強くなっているからである。あるいは「主婦」なんか、私は社会の中でも一番の意義ある役割分担だと思っているのだが、今や「女性の人権を侵害する最悪の存在」みたいな言われ方までされるようになっている。それが時代の移り変わりというものなのか、40年前を振り返ると(えらい振り返っとるが・笑)、そういう感じがある。どっちがいいのかわからんが。

 ただ、職業人だろうが主婦だろうが、それぞれに個人的環境や価値観の差で不平不満はあるだろうが、それは個別案件であって、個別案件には個別対応をすればいいと思うのである。それを、個別案件なのにそれに対策を打つのに「全員に網をかける」という風潮が、私はどうも好きになれんのである。ちなみに、うちの大学でも「それはどう考えても個別案件だろう」と思われるようなことなのに「大学全体の新しいルール」として全員に網をかけるみたいな対策がよく出てくるんよなあ。大学の話は内部情報なので具体例を書くわけにはいかんが、この「個別案件なのに全体に網をかける」というのと、逆に「全体の根本問題なのに個別対象の対応やその場だけの対応で済ませてしまう」という風潮は、近年私が感じている不条理の中でもかなり上位にあるのである。

 というわけで、とりあえず、今日は慎重に柔らかめの雑煮の餅を3つ食べました。「私が選ぶ、歳をとっても何ぼ言うても繰り返す失敗ランキング」のトップ2に「正月に餅をのどに詰める」があるので(笑)。ちなみに第2位は「台風の真っ最中に田んぼを見に行って流されるじいさん」。笑い事でないけど、あんまりいつまでも繰り返すと、しまいに「笑われるだけ」になるからね。
団長日記・バックナンバー一覧へ
build by HL-imgdiary Ver.1.24
トップページへ戻る
 
 

すべてのコンテンツの無断転載を禁じます。すべての著作権は株式会社麺通団プロダクト&マネジメントに 帰属します。Copyright (C) 2003 Mentsudan Product & Management Inc. All Rights Reserved.