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2013年02月の日記
2013年2月28日(木)

 さてと、2013年度香川県当初予算案をこんな日記で分析するには、数字ばかりでスペースを取りすぎてチンペイが気を失ってしまうのだが、どうするかなあ。とりあえず、新聞に載っている数字だけを並べてみますか。

 県の予算は毎年この時期に大きなスペースを割いて紹介されているのだが、私の知る限り、掲載直後に誰に聞いてもその大まかな概要さえ「知らない」と言うので、たぶん誰もちゃんと見てないのだろう。あるいは、見ても何事かわからないのだろう。わからない理由は、何事かわからないように紹介されているからである。だって、私もわからないもの。

 発表された2013年度予算案は、総額4274億円(以下四捨五入)。じゃあ、歳入の方は置いておいて、特に県民が知りたい歳出の内訳、つまり「4274億円の税金が何に使われているのか?」を再掲します。紙面には千円単位で載っていますが、細かい数字はここではあまり意味がないので、四捨五入して億円単位に直しました。

議会費・・・・・12億円
総務費・・・・244億円
民生費・・・・561億円
衛生費・・・・205億円
労働費・・・・・28億円
農林水産業費 157億円
商工費・・・・472億円
土木費・・・・368億円
警察費・・・・241億円
教育費・・・・944億円
災害復旧費・・・58億円
公債費・・・・636億円
諸支出金・・・348億円
予備費・・・5000万円
(計)   4274億円

 さて、この一覧表から、何のメッセージが出てきますか? ほとんど何も出てきませんね。おそらくこれは、費目名も並びの順番も県から出された資料のそのままだと思いますが、こんな形で見せられても何が何だか判断のしようがないのである。

 じゃあ、仕方がないから少しメッセージを出してみましょう。例えば、並びの順番を変えて比率を加えてみると、

教育費・・・・944億円(22%)
公債費・・・・636億円(15%)
民生費・・・・561億円(13%)
商工費・・・・472億円(11%)
土木費・・・・368億円( 9%)
諸支出金・・・348億円( 8%)
総務費・・・・244億円( 6%)
警察費・・・・241億円( 6%)
衛生費・・・・205億円( 5%)
農林水産業費・157億円( 4%)
災害復旧費・・・58億円( 1%)
労働費・・・・・28億円(ーー)
議会費・・・・・12億円(ーー)
予備費・・・5000万円(ーー)
(計)   4274億円

 こうやって額の大きい順に並べ替えると、「来年度の香川県の税金のうち、教育費に22%も使われるのか!」「借金返済(公債費)に15%も使われるのか!」とかいうメッセージが出てくる。すると、「教育費って、そんなに巨額の税金を具体的に何に使っているんだ?」という疑問が出てきますね。これ、教職員の人件費が大半ですか? 明細が知りたいですよね。でも発表されていません。

 さらに続いて、「561億円も使う民生費って何だ?」という疑問が出てくるでしょう。でも、その疑問の答はどこにも載っていないのです。そこで調べてみると、民生費というのは、どうやら福祉関係の費用らしい。具体的には生活保護費、高齢者福祉費、障害者福祉費、児童福祉費、国民健康保険への支出、介護保険への支出などらしい。すると、「生活保護への支出はいくらなんだ? 国保や介護保険への支出はいくらなんだ?」等々を知りたくなるでしょう。でも、そんな項目別の内訳はどこにも載っていません。

 要するに、「民生費」などというひとくくりの項目と数字は、多くの県民の知りたいことに対するメッセージがほとんどゼロなのである。「商工費」も同じである。472億円もの内訳は何なんだ? 具体的に何に予算全体の11%も使っているんだ? という疑問に対する答は載っていない。知らせたくないのか? 知らせるつもりなどないのか?

 続いて紙面では、上記の項目別内訳に並べて「性質別内訳」として、次のような一覧表が載っていました(これも県が出した資料のままだと思われる)。

<義務的経費>
人件費・・・・1245億円
公債費・・・・・635億円(上記の公債費とちょっと違う)
扶助費・・・・・410億円
<投資的経費>
普通建設事業費・496億円
災害復旧費・・・・57億円
<その他の経費>
物件費・・・・・209億円
維持補修費・・・・54億円
税収関連交付金・337億円
補助費等・・・・355億円
積立金・・・・・・・7億円
投資及び出資金・・24億円
貸付金・・・・・410億円
繰出金・・・・・・35億円
予備費・・・・5000万円
(計)    4274億円

 つまり、総予算の4274億円を「項目別の歳出の内訳」と「性質別の歳出の内訳」の2種類の分け方に変えて一覧表を並べてあるのだが、これ、2つを並べても全く両者の関連がわからない。普通、資料やデータを2つ並べたら1つずつでは出てこなかった新しいメッセージが出てくるものなのだが(だいたいそれが目的で2つ並べるものだが)、それが何も出てこない。

 仕方がないので、とりあえず「性質別の歳出の内訳」の方も並べ替えて比率を加えてみると、

人件費・・・・1245億円(29%)
公債費・・・・・635億円(15%)
普通建設事業費・496億円(12%)
扶助費・・・・・410億円(10%)
貸付金・・・・・410億円(10%)
補助費等・・・・355億円( 8%)
税収関連交付金・337億円( 8%)
物件費・・・・・209億円( 5%)
災害復旧費・・・・57億円( 1%)
維持補修費・・・・54億円( 1%)
繰出金・・・・・・35億円(ーー)
投資及び出資金・・24億円(ーー)
積立金・・・・・・・7億円(ーー)
予備費・・・・5000万円(ーー)
(計)    4274億円

 どうですか? 「人件費がダントツか!」「人件費と借金返済で44%も使っているのか!」等々、ちょっとメッセージが出てきますね。さらに、「扶助費って何だ?」とか「貸付金って、誰に何を貸し付けてるんだ?」とか、「補助費って、355億円も誰に何を補助してるんだ?」とか「税収関連交付金って、歳出項目なのに税収関連って? しかも税収(歳入)関連なのに、一体誰に交付金で支出してるんだ?」とか、謎が謎を呼ぶでしょう。

 要するに、これは行政の事務手続き上の資料をそのまま載せているだけであって、県民が知りたい税金の使い途を紹介しているんじゃないんです。でも、行政をチェックする使命を持ったメディアは、それを分析するなり見せ方を変えるなりして、県民が知りたい(あるいは知るべき)情報に編集して、メッセージを出さないといけない。それをやらないと、大本営発表の御用新聞に成り下がってしまいます。

 と、ここまででチンペイはすでに気絶していると思われるが、実は本題はここからである。

 13年度県一般会計当初予算案についての新聞の大見出しは、こうである。

「安心・経済成長へ4274億円」
「地域の重点課題手厚く」

 そして、歳入の内訳と歳出の2種類の内訳に加えて、「地域の重点課題」とやらに関連する予算の項目を3つの分野で紹介している。長くなるけど、もうついでだから全部再掲するので、香川県民は改めて香川県が何をしようとしているのかを知っておいてください。ちなみに、これもばらばらに列挙されていましたので、金額の多い順に並べ替えてみました。

<元気の出る香川>
航空ネットワーク等充実強化対策・・・・・・・・・・・2億6900万円
「さぬき讃フルーツ」生産拡大強化・・・・・・・・・・・・7200万円
地域企業の競争力を強化・・・・・・・・・・・・・・・・・6400万円
希少糖関連プロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・5300万円
オリーブ生産拡大総合支援・・・・・・・・・・・・・・・・4000万円
県産品アンテナショップ機能強化・・・・・・・・・・・・・1300万円
「おいでまい」を核とした売れる米作り促進・・・・・・・・1300万円
香川産まれの「オリーブ牛」の普及促進・・・・・・・・・・1000万円
「さぬきの夢2009」による県産麦の生産・流通高度化支援・800万円
県外学生のUIJターン就職を促進・・・・・・・・・・・・・500万円

<安心できる香川>
豊島廃棄物等処理関連・・・・・・・・・・・・・・・50億6800万円
交通死亡事故抑止総合対策・・・・・・・・・・・・・・9億1200万円
がん対策推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6億7100万円
医師確保対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4億3200万円
ため池緊急防災対策等・・・・・・・・・・・・・・・・2億1200万円
民間住宅耐震対策支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・7600万円
私立学校に対する耐震化助成制度創設・・・・・・・・・・・6600万円
糖尿病予防・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1800万円
津波防災地域づくり推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・700万円
5歳児への検診実施体制整備・・・・・・・・・・・・・・・・400万円

<夢と希望あふれる香川>
県立丸亀競技場に大型映像装置新設・・・・・・・・・・3億0000万円
瀬戸大橋記念館のリニューアル・・・・・・・・・・・・1億6100万円
いじめ・不登校等対策・・・・・・・・・・・・・・・・1億1400万円
瀬戸内国際芸術祭推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・9600万円
プロスポーツ活動支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・5500万円
生徒指導総合支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4600万円
丹下健三生誕100周年プロジェクト・・・・・・・・・・・2300万円
移住・交流推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1800万円
教育センター整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1400万円
香川型指導体制の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・ーーーーーー

 このグルーピングされた一覧表に、記事ではそれぞれ、
「県産果物の供給拡大支援」
「死亡事故抑止へ予算倍増」
「SSW採用の市町に補助」
という見出しがついて、主な項目の内容を説明した記事がついていた。

 さて、これを見て「何なんだ、その恥ずかしいカテゴリー名は(笑)」とか、「その項目はそのカテゴリーか?」とか、「農業対策ばっかりで香川に元気が出るのか」とか、「瀬戸内国際芸術祭の投資とリターン計算には、各市町が注ぎ込む税金も投資額にカウントしろよ」とか、「そもそもそんなものに金を使っていいのか?」とか、個別に突っ込んでいたら切りがないので、今日は大きいところだけ行きます。

 第1、この特集の大タイトルは「安心・経済成長へ4274億円」で、内容からすると、この<元気の出る香川><安心できる香川><夢と希望あふれる香川>の3つが「安心・経済成長」の重点施策項目のようであるが、この3カテゴリーの予算を全部足してもたった88億円にしかならない。しかも、項目を見るとその大半が「改善」政策であって、香川のGDP回復につながるような「創出」的経済施策は、ほとんどゼロである。

 従って、この施策ラインナップでは、しかも集中投資ではなく小口分散投資では、どう考えても経済成長は絶対に起こらない。ということは、「豊かさによる安心」もないと思う。「タイトルに偽りあり」である。

 第2、解説部分の大見出しは「地域の重点課題手厚く」で、その小見出しが「県産果物の供給拡大支援」「死亡事故抑止へ予算倍増」「SSW(スクールソーシャルワーカー)採用の市町に補助」であるが、それが今の香川の現状を見た「地域の重点課題」なのか? という根本的な疑問である。これも「タイトルに偽りあり」だと思う。

 第3、これは単に見せ方の問題であるが、この<元気の出る香川><安心できる香川><夢と希望あふれる香川>のピックアップ項目が、それぞれ先の歳出明細のどこに属するのかが全くわからない。これは「フラストレーションがたまる見せ方」である。

 …等々。結局、この内容では、具体的に何にどれだけの税金を使っているのかがほとんどわからない上、見出しの大きさと金額の大きさが全くちぐはぐで、これだけを見ると県民が完全にミスリードされてしまう。要するに、何が何だかわからないのである。ちゃんとした企業であれば、「会社を成長させて社員の豊かさと安心を実現する」という目標を掲げてこの内容の事業計画書が出てくれば、間違いなく「何だこれは! 会社を潰す気か!」と一蹴される。あ、でも「会社と行政は違う」と言われておしまいなんですね(笑)。

 それにしても、4274億円のうちのたった数十億円を、しかも集中型でなくてあちこちのご意向を調整してさらに分散させたら、砂漠に水が吸い込まれるように何事も起こらないのは明らかなんだけど。手を付けるなら4274億円のうちの<元気の出る香川><安心できる香川><夢と希望あふれる香川>以外の4200億円の方でしょう。そこから100億円単位を捻出して(絶対できますよ)成長施策に集中投資すれば、5年で少なくとも香川を豊かにする何かが起こせると思うんですが。

 でも、行政もマスコミも、何十年も続いて来たメンタリティだから変えられないんでしょうねえ。変えようとしたら身に危険が及ぶかもしれんし(笑)。ま、そういう意味では一部同情しますけど。

 あー、どうするかなあ。時間ができたら徹底的に詳細を調べてみたいけど、今日、また一つ重い仕事を抱えてしまったからなあ。誰か、一緒にやりません?
2013年2月27日(水)

 28日までに上げる予定の重いやつ3本のうち、まだ2本目の7割くらいで本日終了。なかなか思うようにいかんなあ。明日、次の仕事が2本ほど入ってくる予定なので、結局「追われる仕事が一つもない」という夢の日々はなくなることが確定した。

 でも、ちょこちょこと息抜きをしているので、ま、ええか。この1週間のレジャーは、
21日(木)…早朝、峰山ウォーキング2時間。夜、熱帯魚20匹増量。
27日(水)…昼、家族でうどんツアー(笑)。

の3つだ。今日はそのうちの3つ目のうどんツアー。この後に及んで、娘が仕事の休みで帰省してきて「うどん食べて帰る」言うので、昼から家内と3人で出かけたのである。結果、こういうツアーになりました。

13:00 がもうに行ったら長い行列の最後尾に「本日終了」の立て看板が立ってて、すごすごと退散。
13:10 すぐ近くの坂出山下で、かけ小とちくわ天。
13:40 その足で「だめだろうなあ」と思いながら田村に行ったら、案の定、本日終了。
14:30 やまうちまで足を伸ばしたら、天ぷら類はすっかり終了していて、客は私らだけだった。ひやあつ小を一杯。あまりのうまさに、家内と娘が玉を5つも買って帰る。
15:10 小縣家で醤油うどんの小。食べ終わったら口の中にダイコンの辛さが残っていたので、喫茶コンピーラのぜんざいがいかにうまいかを語っていたら、全員、全身ぜんざいの口になってしまった。そこで、直ちにコンピーラ突撃を敢行。さらに、「それならすぐ近くに豚珍館のソフトクリームがある」ということで、「コンピーラのぜんざい」から「豚珍館のソフトクリーム」という、黄金のスイーツ・オン・スイーツ大作戦に切り替える。

 ところが、先に現れた豚珍館の前を通ると、「準備中」! さらにすぐ先の喫茶コンピーラに行くと、「水曜定休」!

 結局、ぜんざいの口が収まらないので、坂出のかまどの喫茶まで行ってぜんざい食って帰りました。で、原稿に取りかかったら2本目の7割あたりで沈没したと。

 2週間ほど前、ここで「ツッコミどころ満載の香川県13年度予算に目もくれずに頑張る」みたいなことを書いたら、勝谷さんを始め数人から「突っ込んでください」というメールを頂いたが、本気で分析しようとしたら問題となる数字の詳細がほとんど闇の中で、どうにも片手間では解明できない。本来なら地元メディアがちゃんと分析してくれないといけないのだが、例によって、新聞には県が発表した資料そのまましか載ってないのでどうしようもない。

 というわけで、重いやつあと1本上げたら、とりあえず新聞に載った大本営発表の内容だけで、大ざっぱに突っ込んでみます。
2013年2月23日(土)

 木曜日の四国新聞の一面に「四国電力が電気料金の値上げを国に申請した」(家庭向け平均10.94%、企業向け17.50%の引き上げ)という記事が載っていて、中面に以下のような記事で「県民の声」が羅列して紹介されていた。

・原発の再稼働には否定的な主婦○○さん(45)。値上げは仕方がないと考えていたが「引き上げ率があまりに大きい」と驚きを隠せない。
・主婦○○さん(68)は「消費税も増税されるのに、電気料金まで大幅に上がるのは本当につらい」と訴え、主婦○○さん(31)も「小さい子どもがいるので、冷暖房の節約は難しい。負担が増えるなら食費など他の部分を切り詰めるしか…」と今後の生活への不安を口にした。
・「値上げの前にやるべきことがある」とは自営業○○さん(45)。四電陸上部の廃部は「値上げを正当化するための口実」として、負担増に「ノー」を突きつける。
・無職○○さんも「役員報酬など、もう少しカットできる部分があるのでは」と現時点での値上げ申請に疑問を呈した。
・大学生○○さん(20)は、企業の生産コスト増で「商品の値上がりが相次ぐかもしれない」と懸念。安全税を確保して原発を再稼働した後、「徐々に原発依存度を下げていくべき」として、自然エネルギーの割合を高めていく必要性を強調した。

 という6人の声を紹介していた。まあよくある「街の声」の紹介記事であるが、こういうのを見て、みんなどう思ってるんかなあ。「私もそう思う」、「いや、私はそうは思わない」とか思いながら読んでるんだろうか。「へえー」とか「ふーん」とか思うぐらいで読み流しているんだろうか。あるいは、そんなの読まないとか。

 何となく気持ち悪くないですか? 私はどうも、気持ち悪くて仕方がない。意見の内容に気持ち悪いのではなくて、意見に事実ベースの根拠が付いてないのが気持ち悪いのである。

 例えば、「引き上げ率があまりに大きい」に「引き上げ率は3%で行けるはずだ。なぜなら、今後予想される赤字、毎年○○○億円をカバーするには、家庭向け年間○○kwh×○円と企業向け○○kwh×○円とで○○○億円になって、十分カバーできるからだ」という根拠が付いていれば、読んだ私に「ほんとだ、大丈夫じゃないか」とか、あるいは「それには○○の何億円が抜けているから、5%アップは必要なんじゃないか?」とか、考えることができる。そして、それを考えることによって少し賢くなることができる。

 けど、「引き上げ率があまりに大きい」で終わると、ただの情緒的情報だから、読んだ私には「そういう意見を言っている人がいるのか」と思うだけである。しかも、それに対して私には情緒的な感想が出るだけで、全く議論が建設的にならない。例えば「もっと上げ幅を抑えるべきだ」「いや、10%じゃ足りないだろう」「来年はまた上がるんじゃないか?」とかいう意見を出し合っても、意見の事実ベースの根拠(ここでは数値計算)がない限り、絶対答が出ないからである。

 事実ベースでない議論は、ただ自分の言いたいことを言い合っているだけになってしまって、いくら時間をかけても何の答も出ずに、フラストレーションがたまるだけである。会社でそんな会議をやっているところがあったら、おそらく何の問題解決もできないと思う。

 「値上げの前にやるべきことがある」には、「値上げの前にやるべきことはこれだ。これをやれば総額○○○億円がカットできて、年間不足分○○○億円を十分カバーできるじゃないか」という事実ベースの根拠が付いていれば、私はそこから事実ベースで賛成できたり、事実ベースで代案を出せたりするし、そういう思考を続けながら、ちょっとずつ賢くなっていける。

 「役員報酬など、もう少しカットできる部分があるのでは」というのも、「役員報酬の総額は○○億円ある。それは、この規模でこの決算状態の企業の一般的な役員報酬額からすれば、20%はカットできるはずだ。すると○億円の経費が節約できる」という根拠が付いていれば、「それじゃ、赤字解消に全然足りない」とか「なるほど、それで足りるじゃないか」とか、読んだ方は考えられる。でも、そういう事実ベースの根拠が付いてないまま、「役員報酬など、もう少しカットできる部分があるのでは」という意見だけを見ると、本当に役員報酬をカットしたら値上げしなくて済むのかどうかも全く考えないまま「そうだそうだ、俺たちよりたくさん給料を取っている役員は報酬をカットしろ」と叫んでしまうような“答を出せない人”になってしまう恐れがある。

 いや、もし、こういう事実ベースの根拠のない「街の声」を読んでも何も思わない人が圧倒的であり、それを載せ続けるメディアも何の疑問も感じてないとすれば、圧倒的多くの国民が「事実ベースでものを考えない、情緒だけで発言し行動する」という“答を出せない人”になりつつあるのではないか…という気がするでもなくしないでもなく…うやむや…そんなことないですよね。みんなちゃんと事実ベースで考えてますよね、と逃げておこう(笑)。

 何でこんなことを書いたのかというと、こないだうちからNHKの討論番組みたいなのに、画面の下に視聴者からのツイッターみたいな「街の声」が延々と文字で流されているのを何度か見たからです。番組はいろんなテーマでそれなりの論者がそれなりにしっかりと討論している時もあって勉強になるんだけど、その画面の下に、事実ベースの根拠が何も付いてない「街の声」が延々と流されている。あれは、私には近年最大の「気持ち悪い企画」です。あの部分にテープを貼って見えなくして番組を見た方が、よっぽど健康的な番組になると思うんですけど。

 それにしても、いつからこんな感じになってきたんでしょうね。たぶん、少しずつ少しずつ、メディアが「民意」なるものに媚びて(媚びるふりをして)、事実ベースで分析解説するより情緒で流した方が楽だから(記者も勉強しなくて済むから)、それと、情緒を集めた方が国民を扇動しやすいから(事実ベースだと事実ベースで反論されて答が出てしまうから)、そういうことを少しずつ少しずつやってきて、それに少しずつ少しずつ慣らされてきた国民がだんだん物事を事実ベースで考えなくなってきたのだと思う。

 私ら、「ゆでガエル」になってきてるのではないかと思います。

 長年の間にちょっとずつ変になってきているのに気づかないまま、今、物事を事実ベースでほとんど考えられなくなっている、知らない間に、熱湯の中で熱さを感じずに泳いでいるのではないかと。そこに、ネット社会到来。「情緒」がいくらでも垂れ流しできるネット社会において、個人はまあどんどん遊んだらいいんだろうけど、メディアは情緒を垂れ流しにしたらいかんでしょう。熱湯が沸騰しますよ。

 「紙面や時間の関係で、いちいち個人の意見に事実ベースの根拠を付けて紹介するわけにはいかない」と言うのなら、そんなものは極力垂れ流さないというのが、健全な編集者のメンタリティである。あるいは、たぶんたくさん紹介されている「街の声」の大半は事実ベースの根拠まで調べて考えて出した声ではないと思うけど、「個人にそこまではできない」と言うなら、個人にそういうことができるように、あるいは個人がそういうふうに考えていくように見せるのが健全な編集者のメンタリティではないか。

 とりあえず、私は「ゆでガエル」にはなりたくないので、世にあふれる「情緒」の情報をいちいち事実ベース(数字、あるいは原理原則に沿ったロジック)で検証するように心がけています。素人なので事実ベースで検証できない時には、その「情緒」の情報は、捨てる。それが一番、自分にとって勉強になる気がしてるので。
2013年2月20日(水)

 上村さんが「仕事ばっかりするな」言うので(笑)、昨日と今日は再び超油断モードを決行した。

<火曜日>
16:00〜散髪。
19:00〜ワーナーマイカル高松で『アウトロー』を見る。
21:30 王将南新町店で天津飯と餃子を食べる。

 どうだ。この油断三昧の夕方以降(笑)。しかも、いつもは忙しくて飛んでしまう日記であるが、この日は油断しすぎて飛ばしたぞ。さらに、油断しすぎてH谷川君に添付し忘れのメールを送ったぞ(笑)。そして今日、

<水曜日>
6:30〜峰山、3時間半。

 どうだ! 1カ月半ぶりの峰山につき、雪の残る山中をいつもより多めに歩いてみました。

 その間、この2日で原稿は7行しか進めてない。「進んでない」ではなくて、「進めてない」だ。うーむ、「進めてない」というのは「進むことができていない」と「それ以上進めようとしていない」の2つの意味に取れるな。後者だ、後者。自らの意志によって「今日はこれくらいにしといてやる」という、原稿に対して上から目線の「進めてない」だ。

 いやー、こんな余裕のある日々はいつ以来ですか。とりあえず今、原稿は3本抱えているが、明日はこのスッキリした頭で、1本上げてしまおう。で、一気に残り2本を4日ぐらいで上げたら、ひえー! 「抱えている急ぎの仕事が何もない」という日々がやってくる! ばんざーい!

 というのを、「とらぬ狸の皮算用」と言います。よい子のみんな、日本の諺ぐらいは語り継いでいってね。「船頭多くして船山に登る」の意味を「みんなで力を合わせれば何でもできる」と書いた大学生がいるので(笑)。
2013年2月18日(月)

 次はですね、「あと10日くらいで重いの3本だけ」という、ガントチャートを作るまでもないスケジュールなもんで、もうメガ油断モードになっちゃって、日曜日はフヌケのようでありました(笑)。

 土曜の夜の「集会」が朝帰りになっちゃって、日曜は朝6時に寝て11時過ぎに起床。ダラダラしながらインタビューのテープ起こし。午後2時過ぎからソファに寝っ転がってテレビをつけて、うつらうつらしながらチャンネルをあちこち変えていたら、BS11で競馬中継をやっていた。ふと、久しぶりにちょっと買おうと思って、パソコンを開けてJRAのホームページから出馬表を出して、PATで京都と東京の10レースを2000円ずつ買ったら、4000円負けました。

 けど、メインのG1フェブラリーステークスで500円で6点買ったら、万馬券が当たっちゃいました(笑)。調子に乗って京都と東京の最終レースも2000円ずつ買ったら、東京は外れたけど1000円2点買いした京都の方が当たって1万7000円になりました。収支は、1万1000円使って6万8000円くらい払い戻しがありました。それで、家内と2人で回転寿司に行って、2人で13皿食べました。なかなか緩い日曜でしょ(笑)。

 しかし今日は、気分を一新して朝から戦闘モードである。9時過ぎから研究室でコーヒー入れてジョニー・グリフィンをかけて、重いやつの1本目に取りかかった。今度のやつは、こないだの苦しみの甲斐あってか、ええ感じで構成が進んでいく。これは、ひょっとしたら1日で1本が上がるのではないか、という勢いで進んでいたところ、突然研究室の下から大きなドリルの音がし始めた。ガーーーーー! ガーーーーー!! ガーーーーー!!! あー! もう、仕事にならん!

 真下のノトススタジオで何か工事みたいなのをやっているらしい。それが、メチャメチャ響いてくるのだ。私はたまらず、パソコンをしまってダウンジャケットを着て研究室を出た。あとでパソコンを開けてメールをチェックしたら、「本日よりノトススタジオの音響照明工事をします。ついては、工事の関係上、2階の先生の研究室東側のインタレスト編集室へ数回入らせて頂きたく思います」というお知らせが来ていた。隣の編集室に入るのは全然オッケーだけど、この音の方が私には問題だ…と思いながらメールを全部読むと、最後にこう書いてあった。

「2月中には終わる予定です」

 あちゃー。今日から10日くらい、いつドリルの音が襲ってくるのかわからんのか。これは、研究室以外で仕事せないかんぞ。

 次から次へと何かがやってくる私。神は私にどこまで試練を与えるのか(真言宗だけど・笑)…と、まだ(笑)をつけられる余裕(笑)。明日は映画でも見に行こうっと。
2013年2月16日(土)

 奇跡が起こりました。

 久しぶりに何かが降りてきて、午後5時30分、110ページ全部終わりました! うわ、明日、どうしよう。あ、先送りした重いやつに取りかかればいいんですよね(泣)。

 じゃ、今からちょっと買い物に行って、メシ食って、上村おじさんたちと集会してきます。何かツイッターみたいな日記になったな。やったことないけど。
2013年2月15日(金)

 いよいよ「超重いやつ」にとりかかったぞ。ガントチャートも作った。原稿を書く仕事ではないが、それに近い内容のものが、分量にして全部で130ページくらいある。そのうち20ページくらいは、既にこれまでにちょこちょことやっている。そこで、残り110ページについて、

15日(金)…30ページ
16日(土)…40ページ
17日(日)…40ページ

という、鬼のようなガントチャートを作った。これが達成できれば、もうO西と吉田は洋梨だ、失礼、用なしだ(笑)。これに立ちふさがる障害は、オーストラリア女子オープンとノーザントラストオープンと、明日の晩の上村さんたちとの集会(笑)。上村さんは時々「仕事ばっかりしてないで、たまには息抜きしろよ」と言って誘ってくれるのだが、行くとたいてい息抜きではなくて息絶え絶えになって帰ってくることになるので油断ならない。

 今、夜の10時57分。今日の目標30ページのうち、21ページ目に差しかかっています。行っきょるやろ。行くでー。机の横に、先日新聞に掲載された「13年度 香川県一般会計当初予算案」のツッコミどころ満載の紙面があるが、目もくれずに行くでー。
2013年2月14日(木)

 朝から長いミーティング2本に思考をぶち切られながら、日付が変わって15日の午前1時35分、ついに重いやつ1本目が終わりました。

 ふえ〜、苦しかった。今年最高に苦しかった。こねくり回しすぎて、久しぶりに思考の迷路に入ってしまったのが最大の原因。一旦頭をリフレッシュして、こねくり回さずにシンプルに構成が組み立てられる頭に戻して、金、土、日で次の1本と超重いやつを仕上げにかかります。

 けど、リフレッシュにそうそう時間もかけられないので、峰山には行かない。午前中はリフレッシュなしで仕事にかかって、昼からテレビ見よ。WOWOWでオーストラリア女子オープンゴルフの生中継があるもんで。リディア・コがいきなり10アンダーで初日トップに立ってるし、日本から唯一参戦の上原彩子も4位にいるもんで。

 ニュージーランドのリディア・コ(Koって書くけど、みんな「コー」って発音してるんだから「コー」でよさそうなもんだけど・笑)。まだ15歳のアマチュアだけど、もうプロの試合で3勝もしている驚異の天才少女です。風貌は「巨大なのび太」みたいだけど(笑)、メチャメチャ感じのいい選手です。口の形にミシェル・ウィーが入ってます。今、私が一番応援してる女子プロゴルファーです。ということで、今日は寝ます。
2013年2月13日(水)

 朝7時に目覚ましをセットしたのに、鳴り出した目覚ましを止めて起きたら7時25分だった。7時から無意識に数回止めたらしい。もう、たぶんメシ食ってる場合ではないので、着替えて準備をして、家内に車で高松駅まで送ってもらった。

 今日は午後1時から、高知県の佐川高校で出張授業が2本ある。2年前に佐川高校からリクエストがあって初めて出張授業に行ったのだが、生徒たち以上に、教室で一緒に聞いていた先生に評判がよかったらしくて、また大学に「田尾先生をお願いします」というリクエストが来たというのである。仕方がない、今年はデキの悪い授業をして、もう呼ばれんようにせんといかん(笑)。

 ちなみに、佐川高校の最寄りの駅は西佐川という鈍行しか止まらない駅で、接続が悪いためにこんな時間から出ないといけないのだ。車で行けばもっと融通が利くのだが、車では道中仕事ができないので、この非常事態においては選択肢にならない。というわけで、私は特急の中で仕事をするため、指定席券を買うことにした。

 ところが、指定席はもう通路側しか空いてないという。まいったな…横に人がいると、また仕事ができなくなる恐れがあるぞ…けど自由席はもっと仕事環境が悪いかもしれんから、仕方がない、指定席にするか。横の人がずっと寝ててくれることを期待しよう…というわけで指定席券を買って特急に乗ったら、指定席は窓側が全席埋まっていて通路側しか空いてないのに、自由席を見るとガラガラじゃないか。

 そういえば、去年松山に入った時も、今年徳島に行った時も何かそんな感じだった。JR四国も合理化の波か嵐で、四国内全部の特急で運行する時の車両数がだいぶ減っている。今日のしまんと号は何と2両編成で、指定席は1両目の半分だけだ。そういう状態で、高松〜高知間(2時間少々)を利用する客は結構指定席券を取る人が多いので、数少なくなった指定席は結構しょっちゅう埋まってしまうけど、自由席を利用するのは近距離の通勤通学客が大半だから、ラッシュ時間以外はガラガラになる。その結果、指定席は一杯なのに自由席の方が空いている、ということがしょっちゅうあるようなのである。

8:25 そういうわけで、私は通路側に指定された指定席に座るのをやめて、ガラガラの自由席の一番前に座ってパソコンを開けて、仕事をしながら高知に向かった。

10:37 2時間のうち1時間半ぐらいパソコンに向かいながら、高知駅着。ここから各駅停車に乗り換えて西佐川駅に行くのだが、11:09発なのでまだ30分くらいある。そこで、一旦改札を出て、軽く朝昼兼用の食事を摂ることにした。でも、これといった店がない。仕方なく、ウイリーウィンキー(パン屋)の喫茶スペースで、またパソコン開けて仕事をしながらミルクフランス1本とコーヒーで20分くらい過ごした。

11:09 各駅停車のディーゼル車、出発。空いていたのでまたパソコン開けて、40分ぐらい原稿と格闘する。

11:50 西佐川駅到着。2年前は確か、駅から佐川高校まで10数分歩いて行った記憶があるのだが、道順を覚えてないので駅で聞こうかと思ったら、無人駅で誰もいなかった(笑)。仕方なく、何となくあっちの方向だったような…と思いながら歩き始める。授業は1時からなので、時間はたっぷりある。でも1本遅らせたら間に合わないというダイヤなので、こういう時間になるしかない。

12:05 何と、一度も迷わず誰にも聞かず、佐川高校に到着。

田尾「すみません、接続の関係でこんなに早く来てしまいました」
担当「すみません、田舎なので本数が少なくて」
田尾「あ、いや、全然大丈夫です」

 そうか、こういう言い方をしたら逆に向こうが恐縮するんだ。57にもなって、まだ勉強が足りんなあ。失礼しました。

 それから、控え室の図書室で12:50までまた原稿と格闘。
13:05 1回目の授業。
13:55 1回目の授業終了。
14:10 2回目の授業。
15:00 2回目の授業終了。

 次の列車に乗り遅れたらえらいことになるので、直ちに西佐川駅まで歩いて帰る。

15:39 西佐川駅出発。空いているのでパソコンを開けて仕事を始めたのだが、途中の駅から下校中の中学生か高校生がドカドカ乗り込んできて、結局ほとんど仕事にならず。
16:35 高知駅到着。

 今度も高松行きの特急まで35分くらいある。さすがに朝からミルクフランス1本では腹が減ってきたので、何か店はないかと駅から向こうを眺めてみたら、「高知のうどん」と書かれた店が見えた。新しそうで、しかも小じゃれたダイニングふうの店構えをしている。こないだの水タバコ以来、チャレンジャー精神が戻ってきた私であるからして、これは行かねばなりません。けど、あの手の店は出てくるのに時間がかかるかもしれんと思って、私は早足で店に向かった。そしたら、「17:00から営業します」って。

 仕方なく退散したのだが、10分を費やしてしまった。しかし、腹はさらに減っている。仕方なく、駅構内にあるファストフードっぽいカフェに入った。ドリンクメニューの他に、カレーとかオムライス、うどん、そばとかがある。せっかく高知まで来たんだから、まあうどんか…と思って「きつねうどん」を頼んで席に着いたら、しばらくして番号を呼ばれた。セルフにつき、カウンターに取りに行って、そのうどんを見た瞬間、

「あ! これ、2年前に来た時もこれ頼んだんや! しかもあの時食べたのは、確か、強力デンプンで固めたみたいな冷凍うどんやった。この麺は…うわ、たぶんあの時と同じやつや!」

 もう手遅れでした。1本食べたら、予想通りのやつでした。

17:13 失意のうちに特急しまんと号で高知発。
19:38 高松駅着。

 結局、1本目の重いやつはまた完了しませんでした。ただ、電車の中でこれまで書いてた原稿を最初から見直して散々考えて修正した結果、大きな流れがかなりスッキリしたので、どこかで一気に完成に持ち込めそうな感じにはなってきた。今晩中か、明日の午前中には何とか……あ、明日の午前中は打ち合わせが1本入っている。あ〜、無理して打ち合わせを入れるんじゃなかった…。

 重いなあ…。先週あたり、「2月14日からの解放感を心の支えに頑張ろう」とか言うてたのに、何たるちあサンタルチア、さもないとアンモナイト、必ずしもいなり寿司も(失笑三連発)。
2013年2月12日(火)

 今日も、重いやつの1本目が仕上がらなかった。というか、昨日の夜中に仕上がらなかった時点で、今日は無理だと思っていた。

10:30〜11:00 ミーティングのようなもの
15:10〜16:30 会議
17:30〜18:00 会議

 難解な原稿は、こういう間隔で用事が入ると思考がブチブチ切られて、頭の中でロジックツリーの構成がうまくできないのである。きっとできる人もたくさんいるんだろうけど、私にはできかねるのでダメ。

 結局、この間にも、研究室にいると来客や電話がいくつか入ってしまって、ジリッとしか進まなかった。もう、土曜日に計画したガントチャートは絶体絶命、もはや何かを引き延ばして待ってもらうしかない。しかも、明日は朝から高知に出張授業に行かなくてはならず、終わって高松に帰ってくるのが夜の8時前になるから、明日も1本目が終わりそうにない。さらに明後日も打ち合わせ事が2本ある…

 しかーし! 私は計画を立て直した。重いやつ2本を死にものぐるいで明後日の木曜日中に仕上げて、最後に残った超重いやつを金、土、日の3日間で死にものぐるいで仕上げる! そのためには、まず今晩、英気を養うために寝よ(笑)。今、午前0時34分。おやすみ。
2013年2月11日(月)

 あかん。今度ばかりは石田ばかりだ。あ、いや、数人しか知らないフレーズを書いてしまった。

 あれは忘れもしない30代のいつだったか(忘れとるやないの! あー、これも久しぶりのフレーズ・笑)、タウン情報誌の編集長をしていた時に、どこかのバーだったか居酒屋だったかで初対面の3人組のサラリーマンと意気投合して話をしていた時の会話。

男A「僕ら、石田はかりの営業なんですよ」
田尾「あの、重さ量るハカリの石田はかりですか?」
男A「そうそう。それでね、営業するのにキャッチフレーズを作ろうと思って3人で考えてたんですけど、最初に考えたのがこれ、『はかりしれない石田はかり』。どうです?」
田尾「いやー、どうですと言われても(笑)」
男B「じゃあ、これはどうです?『今度ばかりは石田ばかり』」
田尾「それ、おいしいとこ突いてきてる(笑)」
男C「じゃあじゃあこれはどう?『はかったな! 石田はかり』」
田尾「人、ダマしてますやん!」

 という事件がありまして、あのキャッチが未だに頭に残ってるんです。いやー、営業の世界はおもろかったなー。同僚だったK西君が飲み屋で出くわした事件もまだ覚えてる。どういうシチュエーションだったのかは忘れたが、K西君が3人組のサラリーマンと名刺交換をしたら、

男A「電通です」
男B「アサツーです」
男C「かに通(つう)です」

 という事件があったらしい(笑)。

 いや、そんな話じゃなくて、今度ばかりはガントチャート崩壊だという話。月曜深夜、もう日付が変わって44分になろうというのに、まだ1本目の3分の2あたりを書きながらうなっています。途中でどうも構成がうまくないことに気がついて、昼過ぎから一から書き直しています。今、2本目をさらに待ってもらうか、この後控えている超重いやつをさらに待ってもらうかで葛藤中。葛藤してるヒマがあったら早よ書けっちゅう話ではあるが、そこはそれで何ちゅうか…というか、こんなの書いてるヒマがあったら早よ原稿書けっちゅう話であるが………あかんわ。O西と吉田に鬼のようなガントチャート作ってもらわな、どうにも後回しグセが出てきてしまう(笑)。今日はもう寝て、明日早起きして一気にやる! …という作戦はこの20年、成功した試しがないんだけど。

2013年2月10日(日)
 ガントチャート、初日から崩れる!

 自然災害でも起こったような見出しだが、人災です(笑)。もー! 全然進まん! 11日の朝になったのに、まだ1本目の3分の1くらいしか進んでない!

 物書きの方が見たら「何しょんや」と思われるかもしれないが、いつも抱えている重いやつは、ただのテープ起こしじゃないんです。1時間ぐらいインタビューしたテープを(デジタルですけど)一旦全部起こした後、話の流れに沿って原稿整理するのなら、“会話文の魔術師(笑)”の私にとってお茶の子さいさい(生まれて初めて使ったぞ)なのであるが、この仕事は「ロジックを組み立てる」という作業からやらないといけない。つまり、会話文を論文に作り上げるみたいな作業なのである。

 しかも、私の考えを論文にするのならもっと早くできるのだが、インタビュー相手の方の考えを「その方の論文」みたいなものに仕上げるのである。ということは、私も「その方の論文」のロジックをしっかり理解しなければならない。そこで、最大の難関が立ちふさがってくる。すなわち、私より「その方」の方が100倍くらい頭がいいのである。しかも、私は「数学の問題を国語で解く男」と自称するほどの文系であるが、その方は天才的な理系。

 もう、毎回毎回大変です。ロジックの構成に数日かかることもあるし、何とか構成して書き始めても、しょっちゅうインターネットや本で調べ物をしないと、その方の頭の中では当たり前につながっていることが私の頭の中でどうにもつながらないことがしょっちゅうある。しかし、そこを自分の頭の中でつなげない限り、接続詞一つ、文末の表現一つが出てこないのである。

 それで、何とか1本仕上げてその方に提出すると、修正やら新規追加文章やらが入って返ってくる。それを見て、「ああ、ここはこういうふうにロジックを組み立てた方がわかりやすくなるんだ」「うわ、ここ、ロジックを勘違いしてた」とか思いながら元原稿を修正して、それを1〜2往復して1本が完成する。そういう作業が、月に2〜3本、多い時は4〜5本あるのである。

 苦しいなあ。でも、15年くらい前からやっているこの仕事(ボランティアですけど)の繰り返しは、私の全ての仕事や活動の最大の訓練の場になっている。私の「考える力」を養ってくれたのは、この仕事と、コラムニストの勝谷誠彦さんのメールマガジンです。それは、単に知識をもらっているのではなく、また、意見に賛同したり賛同できなかったり、という、ただの情緒的読者としての好き嫌いの話でもない。自分の頭の中でいろんな原理原則を組み立てて行くのに、二者とも、とても有効なテキストなのである。

 ああいうものをただ好き嫌いだけで見たり見なかったりしている人は、もったいないなあと思います。「あんなもの、妄言だ」とか決めつけた瞬間、思考停止に陥ります。逆に「素晴らしい意見だ」と決めつけた瞬間にも、思考停止になる。

 繰り返すけど、あれは読み物や思想的なテキストではなく、考える力をつけるためのテキストに使えますよ。考える訓練のための、格好の材料です。私がどう使っているかはうまく表現できないけど、メチャメチャ訓練になります。何より、「マスコミから流れてくるニュースや情報から自分の考えを構築していったらバカになる」ということを知っただけで、一から訓練のし直しが始まるんですから。

 でも訓練は苦しいなあ。ちょっと水槽いじろ(笑)。
2013年2月9日(土)

 毎日のように修正されるガントチャート(笑)。もはやそれはガントチャートの意味を失っているのではないか? という疑問が今、私から挙がったが、「ちょっと待ってもらう大作戦」が功を奏して、かなり計画がスッキリしてきた。すなわち、

10日(日)…重いやつ1本を、死にものぐるいで仕上げる。
11日(月)…重いやつもう1本を、死にものぐるいで仕上げる。
12日(火)…会議と対談合わせて3本の合間に、超重いやつに取りかかる。
13日(水)…高知日帰りの仕事の合間に、超重いやつをできるだけやる。
14日(木)…時間のかかりそうな打ち合わせ2本の合間に、超重いやつをできるだけやる。
15日(金)〜17日(日)…超重いやつを死にものぐるいで仕上げる。
18日(月)〜…待ってもらうことにした重いやつ3本に取りかかる。

 どうだ。計画はスッキリしたけど根本的にまだ何も解決してないぞ(泣)。いや、「まだ根本的に何も解決してないけど計画はスッキリしたぞ」と書いたら、何かちょっと気分が晴れるぞ(笑)。

 というわけで、昨日の金曜日は夕方3時半頃、後期最後の授業と指導を終えて、一旦家に帰ってから直ちに大阪に向かった。実は去年の3月末に軽井沢の勝谷邸で1泊2日の対談をやったやつが、どうもテープ起こしから編集が難航してて「これはボツやな」と思っていたのだが、ここにきて復活してやっぱり本にすると言うので、金曜日の夜7時半頃から大阪で、後書き用の再対談をすることになったのだ。

 天下の勝谷さんと一介の田舎物の私とでは、あまりに恐れ多くて恐縮するばかりなのであるが、一目置く方にはひれ伏すタイプの私は(その割には日記やラジオで結構ぞんざいにいじってるけど・笑)、この原稿非常事態においても万難を排して行かねばならぬ。ところが、行き帰りの車中1分もおろそかにすまいとパソコンを持ってマリンライナーのグリーン車に乗り込んだら、いきなり斜め後ろのおっさんが乗車券をチェックに来たおねえちゃんに「席がいっぱい空いとんのに、何でこんな席に座らせるんや!」いうて絡み始めて、出鼻からテンションうなぎ下がり。

 続いて岡山から新幹線に乗り込んだら、今度は隣に座ってきたオタクっぽい兄ちゃんが、一応静かではあるのだが、明らかに私の書いている原稿をチラチラ見ているではないか。

 私のパソコン画面にはテープ起こし原稿がびっしり埋まっていて、私はそれを読める原稿に構成し直しながら文章を作っている。書いてる内容は真面目な文章なのだが、そんなに見られると何か恥ずかしいし、かといって書くのをやめて時間をムダにしている場合でもないので、私は隣から読めないようにしようと思ってパソコン画面の表示ポイント数を落とした。そしたら、兄ちゃんは何気なくメガネをちょっといじって、今度はガン見し始めた。私は負けじと、ウィンドウを大きく拡げてなるべく多くのテープ起こし原稿を表示するふりをして、さらに表示ポイントを下げた。そしたら、私も読めなくなった。

 もう、何やってんだか。結局、パソコンを閉じて新大阪まで寝ました。

 夜の7時過ぎ、新大阪に着いて、タクシーで対談場所の居酒屋みたいなところに行ったら、風邪でヘロヘロの勝谷さんとマネージャーのT井地と、西日本出版社のU山さんと編集者の女性2名がいました。でも、しゃべり始めたらいつものテンションの勝谷さん復活。結局1時間半くらい、世相を斬りながら「私がなぜ岩崎宏美のファンなのか?」について熱く語って(何でやねん・笑)、続いてもう1軒勝谷さんに連れて行かれて、夜の10時半頃ホテルに帰って、午前3時まで仕事をして寝ました。

 で、今朝。帰りの新幹線は、隣の席で若い夫婦が連れていた小さな子供がずーっとグズってて仕事にならず。岡山からのマリンライナーは、またグリーン車に乗ったにも拘わらず、斜め前の席で4人家族の子供が奇声を発し続けて仕事にならず。で、冒頭のガントチャートに戻る、と。

 ちなみに、勝谷さんに連れて行かれた2軒目の店は、テンションMAXのご機嫌な店でした。何と、生まれて初めて行った「イスラエルバー」! 狭い店内に大音量のイスラエルロック(だと思う)がかかっていて、壁の大きなテレビにはイスラエルロックバンド(だと思う)のライブが流れている。店を仕切っているのは、イスラエル人(だと思う)のメチャメチャキャラの立った兄さん2人(30代か、40代か、歳がわからん)。この2人がメチャメチャおもろい大阪弁で店を仕切っている。

 最初に、小さなグラスに入った「ジャンプショット」という、シャンパンみたいな飲み物が出てきた(テキーラをジンジャーエールで割ったものらしい)。勝谷さんの指示に従って、そのグラスを左手で持って、右手のひらでグラスにフタをしてそのままテーブルでコンコンコンコン! と叩いたら、飲み物からシュワーッと泡が出て来て、それを一気に飲んで乾杯!

 テーブルの上にあるメニュー表を見たら、エルサレムトースト、エルサレムピザ、ホムス、シャクシュカ、シュミッチェル…うわー! 怪しい!

田尾「いかにもイスラエル、いうのはどれですか?」
勝谷「ホムスやね」

 聞くと、ホムスというのはヒヨコ豆と白ごまをペースト状にしたイスラエル料理で、ちっちゃいナンみたいなのにそのペーストをつけて食べるんだけど、これが、ベドロー先生が作るヒヨコ豆料理よりかなりいける(笑)。

 それからみんなでワーワーしゃべった後、勝谷さんたちが先に帰ったので、今日は朝から1本も吸っていなかったタバコを1本吸おうとした。すると、誰かが向こうのカウンターの上を指さして言った。

誰か「田尾さん、水タバコがありますよ」
田尾「え?」

 見ると、カウンターの上に、テレビで見たことのある高さ50センチくらいの金属製の細長いフラスコみたいなのが立っている。

田尾「ほんまや! 水タバコや!」
U山「吸ったことあるんですか?」
田尾「ない」
U山「じゃあ、行きましょう!」

 U山さんがカウンターの方に行って、イスラエル人の兄さんに注文した。すると、イスラエル人の兄さんが何か小さな箱みたいなのを3つ持ってやって来た。

イス「ドレニスルー?」
田尾「え? それ、何を選ぶん?」
イス「コレガミント、コレハパイナップル、コレハモモ、ピーチネ」
田尾「ピーチのタバコ?」
イス「ピーチノカオリガスルネー」

 タバコのフレーバーか? 

田尾「ちょっと、これ吸ったらおもしろい世界に行ったりせん?」
イス「ダイジョウブー、ミズタバコハ、ニコチンモタールモナニモハイッテナイ。トッテモオイシイー、モモノカオリー!」

 一瞬「桃井かおり」に聞こえたが、とりあえず桃を頼んだ。しばらくすると、カウンターの方でお客さんの歓声が上がった。見ると、カウンターの上で、イスラエル兄さんが何かやっている。あの高さ50センチの細長いフラスコみたいなんの一番上に、桃の香りのする何かの葉っぱを固めた物(さっきの箱の中身だ)を入れて、その上に火のついた炭を載せている。その作業を見て、他のお客さんが歓声を上げていたのだ。

 しばらくして、イスラエル兄さんがそれを我々のテーブルの上に持って来て、ドンと置いた。

 フラスコの一番上がちょっと広がって、そこにタバコと火のついた炭が載っている。そこからずーっと管が下に伸びて、一番下は丸くふくれた色ガラスの玉。よく見ると、中に8分目くらいまで水が入っている。その横から、吸い口のついたホースみたいなのが出ている。

田尾「おー! テレビで見たの、これや!」
イス「ホースハ、アンマリヒッパッタラアカンヨー。ヒッパッタラコレガタオレテ、ヒノツイタスミガコロガッテ、オミセガナクナルヨー」
田尾「あっはっは! 大丈夫大丈夫!」

 えー、生まれて初めて水タバコを吸いました。ほんま、ニコチンもタールも一切感じない、桃の香りのする軽い煙です。タバコを吸わない全員が回し飲みしました。吸い込んでもいいけど、ふかすだけでフワーッと桃の香りがする。何か、昔の現役取材時代のチャレンジャー精神が甦った感じになった(笑)。

 何か、元気が出ました。時計を見ると10時を回っていたので、元気なうちに仕事をしようと、ここでお開き。みんなで立ち上がって店を出ようとしたら、イスラエル兄さんが見送りに出てきました。

イス「アリガトウネー! マタキテナー! アリガトー! キヲツケテネー! アチコチヘンナガイジンオルカラー!」
全員「お前や!(笑)」
2013年2月6日(水)

 ふえ〜、また6日も開いたか。レポートはもう100人分以上読んで採点もしたが、2月7日までに上げる予定の重いの2つと、8日までに上げる予定の超重いやつが残ったまま、
・2月14日までに上げる計画の重いやつ3本
・2月14日までに片付けないといけないミーティング2本と会議1本
が割り込んできた。その間、11日までに絶対に上げないといけないレポート採点があと約150人分。大阪行きと高知行きが各1回。定例会議とミーティングが各1本…もう、ガントチャートを修正しようにも、全部の線が重なって真っ黒だ。かくなる上は最後の手段、「ちょっと待ってもらう大作戦」を決行するしかない(笑)。

 というわけで、後ろ向きな作戦は直ちに決行するタイプの私は、重いのと超重いのを後ろに延ばしてもらう作戦を完了しました。よし、プチ油断モードじゃ。日記書こ(笑)。

 今日は日付が変わる前に寝ることにします。今年第2回目の洗車・目が点レポートは、いずれ来るであろう第3回洗車レポートの時に書くことにする。明日、早起きしてむちゃくちゃ頑張る。
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